ブログトップ

本日のイタリア語

cucu2.exblog.jp

向かいの窓

Frezan Ozpetek監督の作品。
イタリア映画なのにイタリア人らしくない名前の監督で、
調べてみたらトルコの人だそうです。
この監督の作品は初めてです。

優しいけれど甲斐性のない夫にうんざりしているジョヴァンナ。
お菓子作りが好きで、その道に進みたかったけれども、
今は鶏の精肉加工所で経理の仕事をしています。

夫ともいさかいの耐えないある日のこと。
記憶障害でパニックに陥った老人と、ばったり行き会います。
放っておけない夫に言いくるめられ、
とりあえず自宅へ連れ帰りました。
しかし、夫は警察へ届け出た様子もなく、
その老人は数日、ジョヴァンナ一家の家で過ごすことになりました。

しかし、記憶が戻った老人は別れも告げずにいなくなってしまう。
彼のジャケットのポケットに入っていた古い一通の手紙から、
ジョヴァンナは老人の居所を突き止め、
手紙を返しに彼を訪れました。

その老人ダヴィデは町でも有名なケーキ屋のパティシエでした。
ジョヴァンナ夫妻に助けられた日、
彼はかつて愛した男性と、人に隠れて手紙の受け渡しをしていた
公園へ向かう途中だったと話しました。
ユダヤ人のダヴィデは、ゲイであることでユダヤ人社会でも孤立していたのです。

時は1943年。
ナチスがイタリアへ侵攻し、イタリアでもユダヤ人狩りを行っていた時のこと。
ダヴィデはその日、ローマにナチスがやってくるという情報を耳にします。
ユダヤ人たちに自分も彼らの仲間だと示すために、
彼らの元へその情報を伝えに走りました。
最愛の恋人は後回しにしたのです。
その結果、恋人のシモーネは強制収容所に入れられてしまう。
ダヴィデはそのことを今も後悔し続け、
そして時に恐ろしい記憶と共にパニックになってしまうのでした。

実は、ジョヴァンナの密かな楽しみは
台所の窓から、向かいの建物に暮らす男性を覗き見することでした。
記憶を失っていたダヴィデを世話していた時のこと。
ひょんなことからその男性ロレンツォと言葉を交わすようになります。
そして、彼もまた自分を向かいの窓から覗き見していたことを知るのです。

ジョヴァンナは、ダヴィデの世話をしたことで、
結果二つの選択をします。
一つはロレンツォとのこと。
そしてもう一つは仕事について。

パティシエだったダヴィデは、ケーキ職人への夢を断ち切れない
ジョヴァンナの背中を押してやります。
そして、ジョヴァンナは新しい人生を歩み始めるのでした。

というのが、ざっくりとしたあらすじです。
パッケージから、ジョヴァンナとロレンツォの恋物語かと思いきや、
ユダヤ人、ゲイといった重たいテーマも絡めながら、
不満だらけだった毎日を変えるために一歩を踏み出した
ジョヴァンナという女性の心の変化を描いた映画でした。

ダヴィデ役のマッシモ・ジロッティが素敵です。
彼の口から発せられる台詞が、ジ〜ンと心にしみました。
不満を抱きながらも日々過ごすことに精一杯のジョヴァンナに言ったのは
Non si acconti di sopravvivere. Deve pretendere di vivere in migliore mondo, non soltanto sognarlo.
「無為に過ごすんじゃない。もっと良い人生を送ることを願うんだ。夢みているだけじゃだめなんだ」
最初の一文は直訳すると「生きながらえることで満足するな」という意味です。
私も心がけます。
[PR]
by arinko-s | 2009-06-09 20:39 | 映画 イタリア
<< IN NOME DELLA M... sono negatoって… >>