あと少しで上映終了と知り、慌てて見に行ってきました。
「縞模様のパジャマ」とは、ナチスの強制収容所に収容された人たちが着せられている収容服です。
主人公のブルーノは、ナチス高官の父親の転勤に伴い、
ベルリンから収容所のある片田舎に引っ越してきました。
友だちとお別れしなくてはならなかったばかりか、
この田舎には子どもなんか誰もいません。
子どもと言えば、自室の窓から遠くに見える農場にいる子たちだけ。
もちろん、それは農場なんかではありません。収容所です。
両親にその子どもたちや農場のことを訊ねても、はっきりとは返事をしてくれません。
ただ、「その子たちと遊んではいけない」と禁止されるだけです。
ブルーノはある日、言いつけを破り探検に繰り出します。
裏庭を抜けて窓から見た農場(収容所)へ行ってみたのです。
そして、有刺鉄線越しに一人の少年と出会います。
少年の名はシュムエル。
やっと出会った子どもです。
ブルーノは無邪気に、毎日のように彼を訪ねるようになりました。
そして二人の間には、不思議な友情が芽生えていくのです。
しかし、ブルーノは再び引っ越すことになってしまう。
シュムエルとの別れを悲しむブルーノは、シュムエルの為に一役買おうと決心しました。
そして、お別れの当日……。
衝撃の結末です。
実は原作を既に読んでいるので、その結末を知っていたにもかかわらず、
涙がポロポロこぼれてしまいました。
BGMの迫力と、その後の静けさ。
映画ならではの演出でした。
イタリアでは、とあるネット書店でもう2年近くこの本が、児童書部門の1位に輝いています。
最初、ジョン・ボインという作家も知らなくて(アイルランドの作家です)、
いったいこの本はどんな本なのだろう、とずっと興味津々でした。
ちょうど一年前、やっと日本語の翻訳本が出て、さっそく手に取ったのでした。
映画と原作の大きな違いは、
原作の方が、ブルーノの無邪気さがもっと強調されていること。
その点が映画ではさらっと描かれていて、そこは原作の方が結末への流れに説得力があるように思いました。
強く感じたことは、
子どもにきちんと説明できないようなことを、大人はしてはいけない、ということ。
そして、子どもから子どもの世界を奪ってはいけない、ということ。
肝に銘じなくては。
ちなみに、日本でこの映画はPG−12指定です。
そして、この本は今年の高校生の課題図書。
イタリアの児童書部門でトップをぶっちぎっていることを考えると、
イタリア人と日本人の意識の差が伺えます。
私は4年生の息子に読み聞かせちゃいましたけど。