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本日のイタリア語

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LA SOLITUDINE DEI NUMERI PRIMI

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もう一年以上、イタリアのベストセラーを飾っている一冊。
気になって購入したものの、後回しにしていました。
そうしたら、邦訳が出てしまったではないですか!
もちろん悔しいからオリジナルで読みました。

幼い頃に起こした事故と事件で、それぞれ心に傷を負ったアリーチェとマッティオの恋の物語です。
邦題は原題そのまま『素数たちの孤独』。

1と自分以外に約数を持たない素数。間に偶数を挟んでいる2つの素数、例えば11と13、17と19、そういう素数は双子素数と呼ばれている。2つの素数はとても近くにいるのに、間の偶数に邪魔され、決してそれ以上近くなることはできないし、触れ合うことができない。

マッティアは、自分とアリーチェはまさにこの双子素数のようだと考えていました。
お互い自然と惹かれあって、心を許し、親しくなっていくのに、
ちょっとしたすれ違いから、遠く離れてしまう。
結局、最後まで交わることなく2人は平行線をたどることになるのでした。

切なくて、悲しい恋愛小説です。
子どもの頃に負った心の傷って、こんなにも深くその後の人生にのしかかってくることがあるかと思うと、やるせなくなります。
誰でも心の傷やそっとしておいて欲しい思い出ってひとつや2つはあるものだと思うけれど、それをどうにか心の奥に隠して、他人と付き合って生きていく術を覚えて行くものだと思います。
でも、このマッティアとアリーチェにはそれができない。
もどかしかったり、じれったかったりしますが、それでいてその孤独もよくわかる。不思議な小説でした。
好きか嫌いか別れるところだと思いますが、私は前者。
かなり物語の中に引き込まれました。

全体的に切ないお話ですが、いくつも大笑いしてしまう場面もありました。
例えば、アリーチェが彼女に好意を抱いているファビオに夕食に招かれたときの話。
拒食のアリーチェはファビオの手料理をこっそりトイレに流してしまいます。するとトイレが詰まってしまって、水がポトポトあふれ出てきてしまう。トイレから出られなくなったアリーチェは、「このわずかな水で溺れられたら良いのに」と願う。そんなアリーチェの気持ち、笑っちゃうけど、よくわかる。

アリーチェとマッティアのことを身勝手と取る人もいるみたいですが、私は全然。
私もこんなふうにできたらすかっとするのに、って思えるところたくさんありました。

物語の最終章にさしかかる頃、ちょうど一緒に時を過ごしたアンドレアにこの本のことを聞いてみました。
私の一番気になったのは、本当にマッティアのような内向的で静かな男子がイタリアにもいるのかということ。
もちろん、論理的に言えば「いる」ということはわかっています。
でも、そういうイタリア男子に実際会ったことがない!

アンドレアの答えは「もちろんいるよ〜〜」って。
マッティアのような男子は、イタリアでは生きにくいんだろうなぁ、って思います。
私はかなり好みだけど。
by arinko-s | 2009-10-11 14:47 | 読書 イタリア語
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