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本日のイタリア語

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ひと足お先に BAARIA!

昨年のヴェネツィア映画祭で、オープニング上映され話題をさらった映画。
監督は、『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレです。
再びシチリアを舞台に撮ったというこの映画、観たくてうずうずしていました。
日本公開は12月ですが、ひと足お先に、イタリアで発売になったばかりのDVDを取り寄せ観賞。
2時間半の本編 + 特典映像2時間半。この3連休、どっぷりシチリアに浸っておりました。

邦題は『シチリア シチリア!』ということですが、原題は『BAARIA!』。
トルナトーレの故郷である、シチリアの小さな町「バゲリーア」のシチリア弁だそうです。

平たくいうと、主人公ペッピーノの人生を基軸に描いた、20世紀のシチリア歴史物語。
牛飼いの家に生まれたペッピーノは、勉強したくてもヤギに教科書を食べられてしまったり、それが原因で学校の先生におしおきをされたり。ヤギの放牧を手伝いに、二月も出稼ぎに行ったりします。
けっして豊かではないけれど、家族や町の人に愛されながら、明るく過ごしています。

やがて戦争が始まり、ファシストが台頭し、そしてアメリカ兵がシチリアに上陸。
ペッピーノも恋をし、そして結婚。やがて、政治運動に傾倒していき……。

30年代、まだペッピーノが子どもだったころのバゲリーアは、今よりもずっとずっと貧しくて、
ペッピーノが成長していくと共に、町もにぎやかに、そして整備されていきます。そこも見所のひとつです。

特典映像というのは、トルナトーレが本編に合わせて、各シーンを解説してくれているのですが、これが、とってもおもしろかった!
最初、本編を見ながら、「いったいどこで撮影したのだ?」とずっと疑問に思っていました。砂ぼこりがすごいのですが、シチリアにいまだに舗装されていない町があるのか、と。

正解はチュニジアでした。
チュニジアに、30年代からそれぞれの時代の、バゲリーアの町なみを再現し撮影したのだそうです。
教会や映画館、仕立て屋さんも、実際にチュニスにあるものだそうです。
もちろん、実際のバゲリーアでもロケは行われているそうですが、
そういったシーンでは、現代的な建物や、その当時決して存在しなかったものは、ひとつひとつデジタル処理しているそうです。
すごい技術! 驚きです。
一番驚いたのは、シロッコが吹き荒れるシーン。
観ているだけでも暑そうなのに、これがなんと真冬の撮影だったとか。寒さの中、下着一丁で、床に寝転んで涼をとっているように見せているそうです。

また、随所に実在した人物を散りばめているのだとか。
シチリアの画家、イグナツィオ・ブッティア、詩人であり政治活動家でもあったサルヴァトーレ・ジュリアーノ。また、イタリアを代表する作家レオナルド・シャーシャへのオマージュを込めたシーンなどなど。

トルナトーレといえば『ニュー・シネマ・パラダイス』。
今作でも映画は重要な鍵になっています。
ペッピーノの次男ピエトロも映画の魅力に取り付かれ、
友だちから映画のフィルムを譲ってもらい、宝物のように持ち歩いているのですが、
このピエトロが光にすかして眺めているフィルム、
トルナトーレが実際に宝物のようにしていたのと、同じ映画のフィルムを使っているそうです。

とイタリア好き、トルナトーレファン必見の一本。
とにかく、映像が美しい。シチリアに行きたい! と思わせます。

そうそう、大切なのはエンドロール。
村上春樹は「エンドロールを観るなんて時間の無駄」と語っておりますが、
この映画では、観るべきかもしれません。
トルナトーレが9歳の時に回した8mmがバックに流れます。
トルナトーレの幼少時代のバゲリーア。
少年時代の彼の視線のユニークさが際立っています。

(追記)
トルナトーレは、最後のピエトロのシーンが一番好きだそうです。
これから観る方、このシーンをお楽しみに。
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by arinko-s | 2010-10-11 22:52 | 映画 イタリア
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