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本日のイタリア語

cucu2.exblog.jp

警部モンタルバーノ

イタリア国営放送RAI 制作のテレフィルム、大人気の刑事物シリーズ『モンタルバーノ』に、はまっています。

シチリアのヴィガータという町(架空の町)の警察署に勤務するモンタルバーノ。
この小さな町で、次から次へと殺人事件が起こるのは、やはりマフィアのお膝元だから?
闇の組織(マフィア)の匂いも漂わせつつ、モンタルバーノがさっそうと事件を解決していく。
く〜〜、かっこいい! 
イタリア語の恩師、ロンゴ先生いわく、イタリアのフィリップ・マーロウです。
警部モンタルバーノ_b0171200_14142734.jpg

モンタルバーノを演じるルーカ・ジンガレッティは、まさにシチリア人という風貌。
がっちり四角い体と坊主頭。仲良くしていたシチリア人のガエターノが、まさにこういう男の子だったので、そのイメージなのかな。シチリアの香りプンプンです。
このテレフィルムの魅力は、もちろん機敏なモンタルバーノその人に負うところも大きいのですが、そればかりではありません。
とにかく景色が美しい! 
とりわけ、砂浜の上に建つモンタルバーノの家には、大きなバルコニーがあって、そりゃ素敵です。
海を眺めながらの食事、海風の入る寝室。
画面から潮風の香りが漂ってきそうです。

食事シーンも、美味しそう。
モンタルバーノのお気に入りのレストランは、アグリジェント近郊に実在するレストランだとか。
これを観ると、無性にパスタが食べたくなります。
こんな殺人事件ばかり起こっている町で生活するのは気が引けますが、あ〜でもシチリアで暮らしてみたい、と思ってしまう。

先ほど見終わった『Le ali della sfinge』(『蝶の羽』)を見ていて、思ったことがひとつ。
ヴィガータ署のおっちょこちょいな職員、カタレッラが早朝、モンタルバーノを電話で起こし、事件が発生したことを報告する場面がありました。
でも被害者の名字が、出てこない。
「えーと、えーと、筆記用具のひとつで」
「Biro(ボールペン)か?」
「いいえ、インクは使わない…」
「Matita(鉛筆)か?」
「そうです、Matitaです!」

事件現場に向かったモンタルバーノが、相棒の刑事ファツィオに
「で、Matitaの当時の状況は?」と聞くと、
「だれですか? そのMatitaって?」との返事。
「だから被害者のMatitaだ」
「ああ、Lapis(鉛筆)ですよ、警部」!!

このやりとりのおかしさを再現しながら、日本語にすることって不可能?
イタリア人は、ここに出てくるように一般名刺がそのまま名字になっている人が少なくありません。
先の、シチリア人の友人、ガエターノの名字はCalvo(はげ)だったし、イタリアのマンマ、グラツィエッラの名字はPiselli(エンドウ豆)。
スパゲッティさんとかピッツァさんもいるんです。
一度、電話帳で調べたら、Giapponese(日本人)さんもいたくらい!
親しくならないと、なかなか名字まで知ることがありませんが、名字を知ると笑いそうになってしまうことが、しばしばありました。

モンタルバーノのこの場面も、
「ボールペンさんか?」
「鉛筆さんか?」
と訳したのでは、日本人には名字だと理解してもらいづらいだろうし。
かといって「ビーロさんか? マティータさんか?」としては、
マティータとラピスが同意語だから、カタレッラが間違えたのだとはわかってもらえない。
翻訳って、こういうところが難しい。

ちなみに、モンタルバーノシリーズの原作は、イタリアを代表する作家Andrea Camilleri(アンドレア・カミッレーリ)です。
本も何冊か買ったのですが、シチリア弁で書かれた小説を読むのはひと苦労で、結局ほったらかしになったまま。
このモンタルバーノシリーズに頻繁に出てくるシチリア弁の辞書(シチリア弁ーイタリア語)が、ネット上にあることを教えてもらったので、再挑戦してみようかと思案中です。
by arinko-s | 2010-10-23 14:23 | 翻訳
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