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本日のイタリア語

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IL PASSATO RITORNA

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イタリアには、子どもたちが審査員となる『バンカッレリーノ賞』という児童文学の賞があります。
今年度の大賞の一冊が、この『IL PASSATO RITORNA』だと知り、さっそく読んでみました。
原題を直訳すると「よみがえる過去」。

第二次大戦が始まり、排斥ユダヤの色が濃くなりはじめたトリノ。
ユダヤ人のガブリエーレとエルジリア夫妻には、生まれたばかりの息子ダヴィデがいました。
ある日突然、ふたりは教職の座を追われてしまいます。
そればかりか、日増しにユダヤ人の暮らしは厳しいものになっていきます。
あらゆる面で制約され、外出もままならない状態でした。
もちろん、ユダヤ人狩りについての不穏な噂もあれこれと耳に入ってきます。
ダヴィデの身を案じたガブリエーレ夫妻は、スイス・ルガーノに暮らす友人、ノルベルトにダヴィデを預けることを決めます。
その願いを快く受け入れてくれたノルベルト夫妻。
子どものいなかったノルベルト夫妻の元で、ダヴィデはすくすくと育っていきます。

1943年、ついにナチスが北イタリアでのユダヤ人狩りを始めます。
そして、ガブリエーレ夫妻の不安は現実のものとなってしまう。
エルジリアはクリスチャンだったため、すぐに解放されましたが、結局爆撃の被害にあい亡くなります。
ガブリエーレはアウシュビッツに強制収容され、解放直前に亡くなってしまいました。

戦争が終わったとき、ダヴィデは既に7歳を迎えていました。
そして、ノルベルト夫妻は真実を話すきっかけをつかめないまま、時が過ぎていきます。
ダヴィデが大学を卒業するころ、夫妻も次々に亡くなり、真実は闇に閉ざされたまま、ダヴィデは大人になりました。

さらに時は過ぎ、1993年。55歳になったダヴィデの元に一本の電話があります。
それは、アウシュビッツでガブリエーレと共に過ごした、アルベルト・コーエンという男性からの電話でした。
アルベルトは、ガブリエーレの遺言を伝えようと、ダヴィデの行方を追っていたのでした。
まったく知らなかった真実を明かされたダヴィデは、驚くばかり。
とまどい、苦しみ、自分のアイデンティティをどこに求めたら良いのか、ダヴィデの葛藤が始まります。
ガブリエーレ夫妻、つまり自分の実の父親と母親について調査をし、アウシュビッツにも赴き、そして、最後はどうにか隠されていた過去を受け入れることができるようになる、という物語です。

著者のNedo Fiano(ネード・フィアーノ)自身、アウシュビッツからの生還者。もう85歳になる現役の作家です。

イタリアでも激しいユダヤ人狩りがあったことは、映画『ライフ イズ ビューティフル』でも描かれていますが、その映画『ライフ・イズ〜〜』の歴史的検証を、この本の著者であるネードが担当していたことを、今さらながら知りました。

こんな重たいテーマを取り上げた本に、子どもたちが賞を贈るなんて、ちょっと意外でした。
戦争の悲惨さ、ナチスの愚かさに加え、さらにアイデンティティーの問題。
アイデンティティーなんて、大人になった今でも難しくてよくわかりません。
自分のアイデンティティーは、なんて考えたこともないけれど、もし実際こんな立場に立たされたら、やっぱりダヴィデのように悩み、苦しむのでしょうか?
ホント、難しい。ずっしりと、心にのしかかってくるような本でした。
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by arinko-s | 2010-10-25 20:59 | 読書 イタリア語
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