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本日のイタリア語

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CHIEDIMI CHI SONO

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久しぶりの読書記録です。
著者は、Anna Lavatelli(アンナ・ラヴァテッリ)とAnna Vivarelli(アンナ・ヴィヴァレッリ)。多くの共著を出している二人の一冊です。

物語は、山道を急ぐ若者が、何者かに襲われるところから始まります。
襲った方は、若者の身分証明書やこれから行く先で渡すことになっていただろう紹介状などを奪って、若者を崖から突き落としました。


となにやら、とってもミステリアス。おまけにこの表紙です。
これは、ミステリーに違いないと確信。わくわくしながら、先を急ぎました。

舞台は、1758年の早春、イタリア北部にある町、ヴィジェーヴァノ。
サポリーティ伯爵家は、ひとり息子フィリベルトの結婚に向け、浮き足立っていました。
フィリベルトは、これからシチリア島のパレルモに住むクトー男爵のひとり娘、エレオノーラと正式に婚約を交わすため、パレルモへと旅立つことになっていました。
しかしまだ精神的に幼いフィリベルトは、婚約者のことよりも、道中にどんな冒険が待ち受けているのか、そのことが楽しみでしかたありません。結婚に関しては、むしろ消極的でした。


そうです、そうです、まだイタリアという国ができる前の物語。
シチリアとヴィジェーヴァノなんて、文化も言葉もまったく違う外国だった時代の物語なわけです。

息子を送り出す伯爵夫妻にしても、息子フィリベルトにとっても、道中どんなことが起こるのか、まったく想像もつきません。
伯爵夫人は息子が無事にパレルモへたどり着けるよう、また様々な見聞を広げられるよう画策します。
そこで選んだ旅の同行者は、
フィリベルトの家庭教師であり高位聖職者でもあるジェンティーニ、
美術ガイド役オットニエーロ、
薬草の専門家であるトンマーゾ修道士、
剣の達人ストッパーニ、
司書のタルジーノ修道士、
フィリベルトの幼なじみであり、伯爵家の使用人でもあるディオニージ、
一行の引率者として、兵士としての経験豊かなルーチョと、そのお供数名。
と、大所帯での旅が始まります。

フィリベルトとディオニージは主従の関係を超え、固い友情で結ばれています。
ディオニージは幼い頃から、伯爵夫妻の好意により、フィリベルトと共に多くのことを学ばせてもらってきました。
勉強嫌いのフィリベルトとは対照的に、ディオニージは好奇心旺盛で知識欲の高い青年。
家庭教師のジェンティーニは、彼の利発さにいつも関心させられていました。

そのころ、パレルモの名家であるブテーラ家のグイスカルド公は、クトー家を内偵させるために手下をクトー家に送りこんでいました。
実はグイスカルド公は、息子のコッラディーノの嫁にと、クトー家にエレオノーラと息子の結婚を申しこんでいたのです。
しかし賭けごとのために領地を切り売りしているグイスカルド公の噂は、クトー男爵の耳にも届いていました。
エレオノーラの結婚持参金もグイスカルド公の賭け代に消えてしまうだろうことを想像したクトー男爵は、グイスカルド公の申し出を断りました。
しかし、そのまま引きさがるグイスカルド公ではありません。
グイスカルド公は復讐の時を狙い、クトー家を内偵させているのです。


とくれば、冒頭部分の若者を襲った悪者は、グイスカルド公の手下だったに違いありません。
伯爵夫人が息子のために採用した誰かを装って、何くわぬ顔をして旅の一行に加わったのです。

さてさて、一行はパルマに立寄り、フィレンツェを目指す途中、盗賊に襲われてしまいます。
ルーチョが私用で一行と離れた隙のできごとでした。
しばらく、盗賊のアジトで過ごすことになった一行でしたが、この間、ディオニージは盗賊の頭の娘、ロザウラと恋に落ちます。


う〜ん、どうもミステリーから離れてきました。

ルーチョが盗賊のアジトを突きとめ、一行を助け出し、身代金等についても解決。
一行は先を急ぎます。パレルモのクトー男爵との約束の期日までに、パレルモに着かなくてはなりません。
フィレンツェを見学する予定はすべてキャンセル、ローマでは食中毒騒動、ナポリから乗った船では船酔い、と紆余曲折しながらもどうにかパレルモへ到着。
結婚なんて……と無関心を装っていたフィリベルトは、婚約者エレオノーラを見た途端、まさに一目惚れ。
盗賊の娘ロザウロに迎えに行くと約束していたディオニージは、これでフィリベルトも快く二人の結婚を了承してくれるに違いないと胸をなでおろし、すべて丸く治まりかけたところで、最後の事件が起こります。


男爵家には、太陽の光に当たることのできないひとり息子マンフレディがいました。
マンフレディはいつも日光を遮断した暗い部屋に閉じこもり暮らしています。
実は、グイスカルド公が狙っていたのはこのマンフレディの命でした。そのことに気づいたルーチョは、マンフレディに成りすまし、彼のベッドに潜って敵を待ちました。
まず、本物のオットニエーロを襲って、オットニエーロを装い、旅に同行した男が襲ってくるのですが、これは無事に倒します。
しかしその直後、既に男爵家の召使いとして働いていたグイスカルド公の手下が、ルーチョに襲いかかり、ルーチョは命を落としてしまいました。
そのおかげで、マンフレディの命は助かります。
旅は無事に終わり、時が過ぎ、ロザウラとの子どもを待つディオニージからの手紙を、家庭教師のジェンティーニが受けとり、物語は終わりです。


まず、タイトルですが、原題を直訳すると『わたしが誰だか、このわたしに聞きなさい』。
てっきり、冒頭部分で若者を襲った何者かの挑戦的な発言だと思っていました。
そしたら、この言葉、ディオニージがロザウラに書いたラブレターの一文。
この旅ですっかり成長し、大人になった自分をアピールしての言葉でした!
でも、この表紙の顔、どう見ても女の子だし、何だかやっぱり主題は恋愛?

まずここでがっかり。
そして、この18世紀のわざわざ美術ガイドまでつけての長旅。
ある意味、18世紀のイタリアガイドになっているのでは? という期待も見事に裏切られ……
だって、フィレンツェもローマもナポリもろくに見学しないんだもの。

グイスカルド公のクトー男爵への復讐も、いまひとつ。
これだったら、なにも旅の最初から手下を潜入させることなかったんじゃないの?
という不満がたくさん残る一冊でした。

イタリアの、わくわくするようなミステリーと出会いたいものです(涙)。
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by arinko-s | 2011-02-23 21:52 | 読書 イタリア語
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