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本日のイタリア語

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La prima cosa bella

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イタリア語の先生、ダニエーレが「去年発表されたイタリア映画のなかで、まちがいなく一番素晴しい一本」と大絶賛。
イタリアのアカデミー賞といわれる〈デヴィッド・ディ・ドナテッロ賞〉や、イタリア映画記者組合が選出する〈銀のリボン賞〉で、各部門にノミネートされた映画です。
〈銀のリボン賞〉では、監督のパオロ・ヴィルツィが最優秀監督賞を受賞しています。

ミラノで高校教師をしているブルーノ(写真右の少年が大人になってから)は、仕事もプライベートも、イマイチさえない毎日。
ある日、故郷リヴォルノから妹ヴァレリアが迎えにやってきます。
二人の母アンナは、がんの末期症状で、いよいよ最期も近いとわかってのことでした。
けれどもブルーノは、どうにか逃げようとする始末。
その理由は、回想シーンで徐々に明かされていきます。

ことの発端は、1971年。夏のお祭りで「ミス・マンマ」のコンテストに、アンナがかり出されたことに始まります。
アンナは、見事優勝。しかし、それを手放しで喜ぶのは、妹のヴァレリアだけでした。
よその男性にちやほやされる妻に嫉妬した夫は、アンナに手をあげ、アンナは子ども二人を抱えて家を出て行きます。

運良く、映画の関係者と出会い、映画のちょい役をもらったアンナでしたが、子ども二人は夫に連れていかれてしまいます。
しばらく経って、どうにか子どもたちを取りもどしたものの、彼女の天真爛漫さがあだになり、思春期を迎えた息子のブルーノは次第に心を閉ざし、母親から離れていってしまったのでした。

久しぶりに会ったアンナは、死期が迫っているがん患者とは思えないほど、ただひたすら明るく毎日を過ごしています。
そして、この数十年間ずっと自分を思いつづけてくれていた階下に住むロレダーノと結婚することにした、とブルーノに明かします。
病院のホスピスを出て、自宅に戻り、家族たちに見守られるなか、自宅のベッドに寝たまま結婚式を挙げたアンナ。
けれども、その同じ日、帰らぬ人となってしまいました。

若かりし日のアンナを演じているMicaela Ramazzotti(ミカエラ・ラマッツォッティ、写真中央、監督のパオロ・ヴィルツィの妻でもあります)は、この映画で〈ドナテッロ賞〉、〈銀のリボン賞〉共に最優秀女優賞を受賞しています。

でも、わたしは断然年をとってからのアンナを演じているStefania Sandrelli(ステファニア・サンドレッリ)の方が好きでした。
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むすっとしているいい年した息子に甘えるしぐさも、自分のことをずっと好きでいてくれた夫をからかうしぐさも、う〜ん、かわいい! 
アンナの明るさは、この女優さんの素顔なんじゃないかと思えるほど。
こんなふうに年を重ねられたら、こんなふうに強く明るく毎日を過ごせたら、とアンナに励まされるような一本でした。

タイトルのLa prima cosa bella(ラ・プリマ・コーザ・ベッラ「人生が初めてくれた美しいもの」)は1970年イタリアで大ヒットした曲からつけられているそうです。
アンナが雨のなか、子ども二人を抱えて家を出て行った日、バスの中、三人で合唱するシーンが印象的です。
最後のシーンでは、ベッドの中、両脇に二人の子どもを抱えて、またこの歌を合唱するのですが、思わず涙うるうるです。

映画にあわせ、Malika Ayaneという女性がカバーしています。
このカバーがすっごくいいです。
お時間のあるとき、聞いてみてください。こちら
映画のシーンも幾つか流れます。
by arinko-s | 2011-02-27 18:15 | 映画 イタリア
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