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本日のイタリア語

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人の津波

長いこと、ブログを更新する時間がなかなか取れずにいました。

その間、イタリアではベルルスコーニ首相の未成年買春容疑の初公判が開かれました(4月6日)。
ところが、当の本人が欠席したために、ほどなく閉廷、裁判の延期が決まりました。
なんてずる賢い首相だろうという印象を内外に強く与えたに違いありません。

驚くことに、その翌日ベルルスコーニは「イタリアが真の民主国家になるためには憲法改正が必要」という声明を発表。
いったい誰のための憲法改正?? 
まったく呆れてしまいます。

この数週間、日本が震災のショックに打ちひしがれ、原発の行方から目を離せずにいた間、
イタリアのシチリアには、北アフリカからの移民船が連日漂着していました。
先週水曜日には、嵐の中出航した船が転覆し、子どもを含む多くの人が海中に投げ出されるという事故も起こっています。
移民収容センターには、もう収容できないほどの移民が到着しているとのこと。

この問題に対し、イタリア政府のとった政策。
今日から一日二便、チュニジア行きの飛行機を定期的に飛ばし、移民たちを送還することにしたそうです。
イタリアにしてみれば、地理的な問題からヨーロッパの窓口になってしまっているだけで、この問題を一手に引受ける筋合いはないというところ。
フランスと内務大臣会合も開かれ、対策を練っているところのようです。
「これはヨーロッパ全体の問題だ」という主張は理解できます。

けれども、この記事(4月11日付け CORRIERE DELLA SERAネット版)の中、なんとも気持ちを逆なでするようなベルルスコーニの発言がありました。
毎日やってくる移民たちを「tsunami umani 人間の津波」と言っているのです。
もちろん、日本の東北地方を襲った津波の映像が彼の頭の中にあったに違いありません。

まだ生々しい記憶の爪痕を思い起こさせるような言葉を、こんなふうに使われることにも腹がたちます。
それだけではありません、命からがらヨーロッパに逃げ出している人たちのことをこんなふうに言うなんて。
彼らにだって、生まれた土地や家族を捨ててまで逃げてくる理由があるはずです。

毎日毎日漂着する移民は、たしかに絶え間なく寄せる波のようかもしれません。
でも、行き場を失い決死の覚悟でやってきた人たちが、津波のように、到着した土地を破壊するわけがありません。
この人たちが安心して暮らせるよう計らうのが政治の役目なのに。
こんな言葉を使うなんて、ホント思いやりのかけらもないやつだ、と腹を立てていたら…

今日は、自身が所有していたテレビ局の放映権の売買の不正疑惑についての裁判が行われるとのこと。
驚くのは、そのベルルスコーニを応援する多くの人たちがロンバルディア州全域からミラノ裁判所前に集まり、裁判所に入る彼を拍手で迎えたこと。
インタビューされている人たちの中には、何の裁判だか知りもせずに野次馬根性でやってきている人もいるようですが、まだまだ彼を応援している人たちがこんなにいるとは!!

う〜ん、呆れちゃいます。
ちなみに、わたしの友人、知人のイタリア人たちは皆、「もうベルルスコーニは充分」という良識派です。
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by arinko-s | 2011-04-11 18:04 | 本日のイタリア語
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