ブログトップ

本日のイタリア語

cucu2.exblog.jp

Non ci resta che piangere もう泣くしかない

b0171200_18221388.jpg

小学校教諭のマーリオ(Roberto Begnini ロベルト・ベニーニ)と、用務員のサヴェリオ(Massim o Troisi マッシモ・トロイージ)。
車に乗っていたふたりは、いつまでも開かない踏切にしびれを切らし、抜け道へと進路を変更したところ、なぜだか過去へタイムスリップ。
気づけば、そこはおよそ1500年のイタリア。突き詰めてみると、1492年、トスカーナのフリットレという村でした。

とまどいながらも、そして、とりわけサヴェリオは嘆きながらも、どうにか2人はそこでの生活を楽しみはじめます。
ところがある日突然マーリオは、スペインに行ってコロンブスのアメリカ大陸発見を阻止する、と言い出します。
原住民インディアンを追いやったのは許し難い行為、コロンブスさえアメリカ大陸に行かなければ、インディアンは幸せに子孫繁栄しているはずだというのです。
サヴェリオはマーリオに説得され、渋々スペインへ向かうはめに。

けれども途中、2人はアストリアハという女の子に旅をじゃまされます。
アストリアハは、コロンブスを無事に出航させるためによそから来た人間の行く手をはばんでいたのです。
どうにか2人が、港町パロスにたどり着いてみると、コロンブスはもう出航したあと! 
2人はコロンブスの出航を阻止することもできず、20世紀に戻る術もわからず、「もう泣くしかない!」というわけです。

ロベルト・ベニーニは「La vita e' bella 」(邦題:ライフ イズ ビューティフル)で、マッシモ・トロイージは「Il postino」(邦題:イル ポスティーノ)で、共に日本でもよく知られたイタリアの俳優です。
もちろん2人は、イタリアでも大人気の俳優。と同時にイタリア映画を代表する監督でもあります。(ライフ イズ ビューティフルはベニーニの監督作品でもあるので、ベニーニが監督をすることは日本でも知られているかもしれませんが)

この作品は2人が一緒に監督、脚本、美術、主演を担当した作品。
1984年に上映され、大ヒットを飛ばしました。
上映から四半世紀が過ぎているというのに、未だにイタリアのコメディー映画を代表する一本です。
DVDには、映画館で上映されたものと異なる結末も入っていて、それもあってか今も大人気。
日本で知られているふたりの代表作よりも、売れているほどです。

ここひと月ほど、ベニーニ作品を少しずつ見直しています。
ベニーニの映画は、史実やイタリア文化をベースにしているので、実はとっても奥が深い。
笑いのがしているところも、けっこうあるかもしれません。
とはいえ、ほんとうにおなかを抱えて笑ってしまうほど、おもしろい!
この映画でも、涙が出るほど笑わせてもらいました。
なかでもふたりがスペイン人の振りをするシーンは、抱腹絶倒でした。

イタリア語とスペイン語で会話ができるか? という議論は良くなされるところですが、わたしの友人たちは「あれは絶対嘘」と断言する人が多かったです。
ただ「イタリア語の単語にsをつけて発音すると、スペイン語っぽくなって通じるんだよ〜」なんて、まことしやかに教えられたことが数度あります。
まさに映画の中のベニーニとトロイージが、それをやってみせるのです。
単語、単語にsをつけて、スペイン人の振りをするシーンの笑えること!
もちろん、すぐに嘘はばれるのですが、ひょっとしてこの映画のおかげで、イタリア語にsをつけるとスペイン語っぽくなる、っていわれはじめたのかもしれません。

トロイージは「イル ポスティーノ」の撮影後に逝去。それが1994年のこと。つまりこの映画の10年後です。
ポスティーノが公開されたとき、わたしはイタリアにいて、イタリアでそれを見たのですが、トロイージの偉大さや、ベニーニとの関係を理解していませんでした。
もちろんトロイージを亡くした悲しみに「イル ポスティーノ」が包まれていたことも、わかっていませんでした。
今、改めて2人の功績を知り、2人が共作、共演したこの映画がイタリア人に愛されて止まない理由がわかるような気がしています。
[PR]
by arinko-s | 2011-05-01 18:46 | 映画 イタリア
<< La bellezza de... 終焉に向かう原子力 >>