ブログトップ

本日のイタリア語

cucu2.exblog.jp

IMMATURI 大人になりきれない大人たち

b0171200_19502799.jpg

今年の1月に公開され、たったの3週間で1,130万ユーロの興行収入を稼いだ大ヒットコメディーです。
今年度のイタリアの映画賞「ナストリ・ダルジェント(銀のリボン賞)」にもシナリオ部門を始め、4部門にノミネートされています。

登場人物は
恋人と同棲中、小児心療科医のジョルジョ
40歳目前にして未だに両親と同居中、不動産業で働くロレンツォ
人気シェフでセックス依存症のフランチェスカ
食品会社管理職、バツイチ子持ちのルイーザ
結婚して自由を奪われるのを嫌い、恋人に妻帯子持ちと嘘をついている、ラジオのDJ、ピエロ
かつてのジョルジョの彼女、エレオノーラ
そして、結婚しても女遊びをやめられないヴィルジッリオ

この高校の同級生7人の元に、ある日教育省から一通の手紙が届きました。
その内容は、書類に不備があり、高校の卒業資格が認められなくなった、というもの。
「つきましては、もう一度卒業試験を受けてください」と書かれていました。

7人は20年ぶりに再会。一緒に試験勉強を始めます。
その間、それぞれが当時を懐かしんだり、忘れかけていたかつてのわだかまりを再燃させたり、恋心が芽生えたり……。
そして迎えた卒業試験。7人揃って合格します。
試験後、7人はそれぞれ踏み切れずにいた選択をし、新たな一歩を踏み出しました。

というストーリー。
そもそも卒業してから20年も経っているというのに、もう一度卒業試験を受けろなんて!
日本だったらあり得ません(きっと)。
でもイタリアだったらあり得る話、とイタリア人も思っているからこそのヒットなのでしょうね。

イタリアの高校卒業試験は、超がつくくらいの難関試験だそうです。
みんなその日のために、2ヶ月も3ヶ月もかけて5年分(イタリアの高校は基本5年制)の復習をするそうです。
当日は、筆記試験+他の生徒の前で受ける口頭試験。
そんな大変な試験、わたしだったら、「もう一度」といわれた瞬間に「無理!」って言ってしまいそうです。

ちなみに、大学卒業試験は、もちろん口頭試験。
でも受験者はstudente(学生)ではなく、candidato(候補者)と呼ばれます。
つまり学生と教授の関係から、教授と対等の立場に格上げされるということ。
試験自体も、高校の口頭試験は interrogazione(インテロガッツィオーネ・質問)と呼ばれるのに対し、大学の口頭試験はcolloquio(コッロクイオ・対話)と呼ばれます。
上からの質問ではなく、対等の立場で会話をし、卒業に値するかどうかが審査をされるということらしいです。

と話がそれましたが、話を元に戻して高校の卒業試験です。
この試験の名前は esame di maturita'(エザーメ・ディ・マトゥリタ)。
エザーメは試験、マトゥリタは人間の成熟を意味します。
この試験をパスすることで、大人の仲間入り、ということです。

恋人に「結婚している」と嘘をつき、束縛されることを拒否しつづけたり、
子どもができたと恋人に告げられた途端、どうしていいかわからなくなって気持ちが揺れたり、
いつまでも、昼食も晩ご飯もマンマに作ってもらい、マンマと並んで映画を観たり。
そんな大人になりきれないまま、大人のふりして過ごしてきた7人が、エザーメ・ディ・マトゥリタを受け、本当の大人になったというわけです。
とくれば、やっぱりこの7人には、再試験が必要だったわけだ。

途中、ピエロが卒業試験の情報を得ようとして、高校生になりきり女子高校生とチャットするシーンがあります。
日本の女子高生の言葉もチンプンカンプンですが、イタリアにも若者の造語がいっぱい。
その一部。

perche'(ペルケ どうして) → xke(読み方はペルケのまま)
かけ算の記号×は、ペルと読みます。それを使ってペルケ。イタリア語のアルファベットにkはありませんが、それをあえて使うのが若者流。

Dove sei?(ドヴェ セイ?) → Dove 6?
「どこにいるの?」と会話の相手に聞く言葉ですが、イタリア語の6はセイ、これを使ってドヴェ セイ? だそうです。
こんなメール来たら、慌てて6を探しちゃいそうだ!

Comunque(コムンクエ) → CMQ
ともかく、という意味のことばですが、略語! 

さらに略したのが TVB。 Ti Voglio Bene(ティ ヴォッリョ ベーネ 好きだよ)の略だとか。
新しい新幹線かと思っちゃいました〜。

イタリアで若者と話そうと思ったら、こんなことも覚えておかなくちゃなりません。
大人にはわからないように自分たちだけの暗号を作るのは、万国共通ということですね。

とっても気に入った台詞をひとつ。
ピエロがディスコで気分の悪くなった女子高生(チャットの相手)を病院に運び、彼女が目を覚ましてから交わした会話のなかの言葉。
彼女は大人びて見せようと必死になり、ピエロの方は若者を装って高校生とチャットなんかしちゃって、お互い実年齢と戦っていたわけですが、ピエロは
「Magari io ho cinquanta anni, pensero' che quaranta anni non era cosi male」
とつぶやきます。
50歳になってみれば、40歳もそんなに悪くなかったと思うんだろうな。
そうでありますように!

最後になりましたが、監督はPaolo Genovese(パオロ・ジェノヴェーゼ)。
この映画の前にも『La banda dei Babbi Natale』(サンタクロースたちの強盗団)が大ヒット。
今大注目の監督です。
[PR]
by arinko-s | 2011-06-05 21:29 | 映画 イタリア
<< ラファエロの『エゼキエルの幻視』 ternitti >>