イタリアの短編映画賞〈Talenti in corto〉の受賞作品3つが決まったそうです。
ひとつめは、
『家の下』。
アパートの玄関の真正面に車を駐車することができたステファノは、それだけ(!)で狂喜します。
下に降りてきた彼女もそれを見て、大よろこび。
ステファノは「子どもが欲しくなった」とまで宣言します。
そして翌朝。車を出す前に、ステファノはあらためてしみじみ。
その場所に車を入れようとしたドライバーは、そこがステファノの家の真正面だと知り、「すごいじゃないか!」とひとこと。
そして、ステファノから電話をもらった両親も涙を流して大よろこび!
ふたつめは、『
シャロンの番号』。
公衆電話もなく、携帯の電波も届かない小さなアルプスの村で暮らすアンドレア。
ある日偶然立ち寄ったチャットルームで、リーザという女の子と出会います。
「彼にふられちゃった」とウルウルしているリーザに、ステファノは一目惚れ。
しばしおしゃべりを楽しむと、リーザは携帯電話の番号を教えてくれるのですが…
途中で雷が落ち、停電!
足りないのはあと3けた。10×10×10で、可能な組み合わせはたったの1,000通りだと、アンドレアは前向き。
そんなのは、シャロン・ストーンの番号を見つけだすようなものじゃないか、と冷ややかなバールのオーナーをものともせず、ステファノはひとつずつ可能性をつぶしていきます(次々と出てくる携帯電話に答えている人たちは、アンドレアからの間違い電話を受けとった人たち)。
でも、どこまでかけてもリーザにたどりつけません。あきらめかけるステファノにバールのオーナーが「思いついた番号をかけてみろ」と、励まします。
そしてステファノが電話のダイヤルを回すと…
バールにやってきた電気工事士らしきリーザ。タイミングよく彼女の携帯電話がなりはじめます。
「自分で探さなくちゃ、満足する結果にはたどりつかない」と話すステファノ。
バールのマスターがダイヤルを回すと、英語で答える女性! ひょっとしてシャロン・ストーン??
3つめは、『
ブラック アウト』。
アパートの向かいの窓の部屋に越してきた女性が気になる老年の男性。
彼は、どうしても冷凍食品のコトレッタ(カツレツ)がうまく焼けません。
冷凍食品の配達人は、お向かいの女性は上手に焼きますよ、と文句をいう男性を相手にしません。
ある夜男性は、今までダメにしてきた冷凍食品の開いた空き箱の裏を継ぎ合わせ、
「質問してもいいですか?」と大きく書きます。
そして、向かいの窓の女性にその紙を掲げると…
いきなりの停電。
ふたりは、それぞれ下に降り、初めて言葉を交わします。
「コトレッタは、何分焼けばいいのですか?」と聞く男性に、
「そうね、わたしは目を離さないようにするわ」と女性。
そして、ふたりは手に持つろうそくを消し、散歩をしに行きます。
という3本。それぞれ楽しめますが、やっぱりイタリアらしいのは駐車場の話??
みんな駐車場がなくて、うろうろしていますよねぇ。ほとんどの人が路駐だから、駐車難民。
そうか、家の真正面に止められるってことは、人生観まで変えちゃうほどすごいことなんですね。
もちろん、おもしろおかしく描いているとは思いますが、きっとイタリア人には共感できるエピソードなんだろうなあ、と思いました。
電話をかけつづけるアンドレアの情熱は、あっぱれとしか言いようがありません。
ステレオタイプのイタリア人ですよね、この彼は。
お〜い、もっと他にすることあるだろ〜〜〜!! って声かけたくなっちゃう。
冷凍コトレッタの話は、実は一番深いのかも。
ひとり暮らしの老人、冷凍食品に頼る食生活、そして老年の恋愛。
高齢化社会と少子化は、日本とイタリアの共通点。
なんだか切なさが身にしみます。
このおじいさん、冷凍コトレッタじゃなくて、手作りのコトレッタを食べられる日がきますように!