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本日のイタリア語

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LA VITA È BELLA

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日本でも大ヒットした『LIFE IS BEAUTIFUL』。
先日、渋谷のツタヤで安売りしているのを発見! 迷わず購入して帰りました。

舞台は、戦争の色が濃くなりつつある1939年。
ユダヤ系イタリア人、グイド(ロベルト・ベニーニ)は、書店を開くために、トスカーナの小さな町アレッツォにやってきます。
そしてドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と出会い、恋に落ちます。
グイドの必死のアプローチにより、ふたりは身分の違いを乗りこえ結婚。
そしてひとり息子のジョズエが生まれました。

ジョズエの5歳の誕生日のことです。
グイド、ジョズエ、グイドの伯父の3人が強制収容所へと連れていかれてしまいました。
それを知ったドーラは、彼らの後を追い、自ら収容所へと向かう列車に乗りこみます。

なぜこんなところへ連れてこられたのか、さっぱり理解できないジョズエをなだめるために、グイドはジョズエに嘘をつきます。
これは遊びなんだ、点数を千点ためれば優勝、賞品は本物の戦車なんだよ! と。
そしてグイドは必死でジョズエを守り抜き……

というあらすじです。
最初に見たのは1997年、公開当時のミラノでした。
公開当初から「この映画はすごい!」とイタリアでは大絶賛で、さっそく映画館に足を運んだことを覚えています。
もちろん、映画館で涙ホロホロ。
今回、久しぶりにDVDを見て、またもやホロホロしてしまいました。

グイドたちが収容所へ連れていかれてすぐ、ドイツ兵がここでの規則について説明しに来る場面があります。
「ドイツ語がわかる者!」と聞かれ、手を挙げたグイド。
ジョズエを安心させるために、めちゃくちゃな通訳をします。

このシーンのドイツ語部分、日本語字幕がはしょられていて、なにを言っているのかわからない!
わからなくても構わない部分ではありますが、すっごく気になります。
グイドがドイツ兵とまったく違うことを言っているってことがはっきりするって意味でも、訳が必要だと思うのだけれど。
なんで訳されていないの?? 
(この部分が気になってしかたないので調べてみたら、イタリアのサイトに載っていたので解決)

もうひとつ謎として残ったのは、アレッツォのグランドホテルでグイドが給仕をしていた時に知り合ったドクターが、軍医として収容所に配置されているのですが、その軍医がグイドに出したなぞなぞ。
「デブで醜く、黄色。どこにいるのかと聞けば『ここ、ここ(伊:qua qua qua)』と答え、歩きながらうんちをする。これなんだ」というのですが、
まったくわからない。

イタリアの掲示板などで、このなぞなぞについての質問や答えがあれこれ書かれていました。
このシーン、なぞなぞを聞きながらグイドがとても悲しそうな顔をするのですが、
わたしはこの表情を、力になってもらえると思っていたドクターの“とても大切な話”というのが、こんな意味の分からないなぞなぞだと知ったグイドの、絶望感の現れだと思っていました。
でもここにはもうひとつの絶望が込められていたようです。

このなぞなぞの答えは、どうやら「ユダヤ人」(はっきりと語られているわけではありません)。
答えを察したグイドは、ドクターに助けを求めても無駄だと現実を突きつけられ、落胆していたようです。

たしかに楽天的なグイドは、強制収容所に連れてこられるまで、そして連れてこられてからも、現実が見えていなかった節がたくさんあります。
このなぞなぞのあと、霧に包まれた収容所で迷い、山積みになった白骨を目の当たりにしたシーンもそのひとつ。
グイドは初めて恐怖に震えるのです。

それはそうとこの映画の、ひたすら子どもを守ろうと明るく努めたグイドの態度を、あまりにも自分勝手な行動と不快に感じる人もいると知って、ちょっと驚き。
まあ、そうかもしれません。
感想は人それぞれですね。

わたしは久しぶりに、息子ジョズエのかわいらしさにノックアウトされました。
シャワーなんて絶対いや! と地団駄を踏むシーンも
Buon giorno Principessa! (ボンジョルノ お姫さま!)と両手を大きく広げてみせるシーンも
目の前に連合軍の戦車が止まると目を見ひらいて「うわ! 本当だったんだ!」と驚くシーンも
ただただ、かわいい!のひとこと。
お父さんがついてくれた嘘のおかげで、恐怖は半減したに違いありません。

このジョズエ役のジョルジョ・カンタリーニ(Giorgio Cantarini)は、今も俳優を続けているそうです。
大人になった彼の映画も見てみたいなあ。
by arinko-s | 2011-07-23 13:57 | 映画 イタリア
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