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本日のイタリア語

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Boccaccio '70

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今ローマで撮影中の、ウッディ・アレンの新作は『Bop Decameron』というタイトルだそうです。
もちろん、ボッカチオの小説『デカメロン』にヒントを得た作品であることは間違いありません。
そして、'62年の映画『ボッカチオ'70』と同じ、オムニバスになるのでは、とのこと。
さっそく、予習の意味も含めて『ボッカチオ'70』を鑑賞。

こちらは、4本のオムニバス。そのキャストがすごい!
監督はフェデリコ・フェリーニ、ルキーノ・ヴィスコンティ、ヴィットリオ・デシーカ、マリオ・モニチェッリの4人。
イタリア映画の黄金時代を築いた大御所ばかりです。
しかも、モニチェッリ監督の『レンツォとルチャーノ』の脚本には、イタロ・カルヴィーノが参加している! 

その他3本のタイトルはそれぞれ『アントニオ博士の欲望』(フェリーニ)、『仕事』(ヴィスコンティ)、『宝くじ』(デ・シーカ)。
俳優陣も豪華で、アニタ・エクバーグやソフィア・ローレンといったお馴染みの顔も。
フェリーニ作品のアントニオ博士を演じているのは、イタリアの喜劇役者の第一人者であるトトとコンビを組んで人気を博したペッピーノ・デ・フィリッポ。

それぞれ楽しめましたが、中でも一番おもしろかったのはフェリーニの作品でした。

「近ごろ世の中が乱れている」と、町のモラルを取り締まるのに必死のアントニオ博士。
公園でキスをするカップルに茶々を入れて離れさせたり、子どもたちにお説教したり。
そんな博士の自宅アパートの正面にある空き地に、ある日大きな広告看板が建てられます。
そこに現れたのは、胸の大きく開いたドレスを着て横たわる女性(アニタ・エクバーグ)の写真。
グラスに注がれた牛乳を手にし、にっこりと微笑んでいます。
「もっと牛乳を飲みましょう」という広告でした。

もちろん博士はびっくり仰天! 
「けしからん! こんなもの今すぐ撤去しろ!」と鼻息あらく、誰彼構わずどなりつけますが、誰も相手にしてくれません。
男たちは、その胸元と脚線美にくぎ付け。これこそ博士の恐れていることではありませんか!
博士は警察に出向きます。警察が動いてくれないとわかると、次は地区の教会へ。神父さんにも何とかしてほしいと懇願します。

けれども事態は好転しません。
しびれを切らした博士は、看板に黒インクを入れたビニールを投げつけ、看板を汚す作戦に出ます。
博士の主張が認められ、ようやく看板は紙で覆われました。

ところが、博士は安心するどころか幻影を見始めます。
看板の中の女性が、ポーズを変えたり、はたまた自宅にまで現れる始末。
そして、ついに女性は看板から飛び出し、看板の中と同じ大きさのまま、つまり博士の何倍もの大きさで、博士をからかいます。
最初のうちは怒りをあらわにしていた博士でしたが、なんてことはない、女性が自分の胸に小さな博士を押しつけるとうっとり。もう逆らえない!
そして最後は、看板の上(厚さ数センチ)で看板にしがみついて寝ぼけているところを救助される、というお話。

邦訳は『アントニオ博士の誘惑』となっていましたが、誘惑しているのはエクバーグ演じる女性のほうで、これは博士の欲望を現した映画でしょう(原題のイタリア語tentazioneは、欲望、誘惑、どちらの意味もあり)、と思うのだけれどな。

この4人の巨匠の中、モニチェッリは日本では馴染みが薄いかもしれません。
イタリアのコメディ映画の全盛期を築いた映画監督で、イタリアでは誰もが知っている名監督です。
この『Boccaccio'70』撮影後、プロデューサーのカルロ・ポンティとモニチェッリの間に意見の食い違いがあったのか、ポンティはモニチェッリの作品を外して、この映画を世に送り出しました。
これに抗議して、残りの3人の監督はカンヌ映画祭をボイコット、という曰く付きの一本です。
つまりそれほど、モニチェッリは他の3人からの信望も厚かったのでしょう。
モニチェッリの作品が日の目を見たのは、日本語版のDVDが初めてだそうです。
昨年11月、モニチェッリは入院先のローマの病院から飛び降りて自殺するという、悲しい最期を遂げています。
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by arinko-s | 2011-09-03 22:08 | 映画 イタリア
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