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本日のイタリア語

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Mine Vaganti  明日のパスタはアルデンテ

シネスイッチ銀座で公開中の「明日のパスタはアルデンテ」と「人生、ここにあり!」。
久しぶりに映画のはしご。まずは「明日のパスタはアルデンテ」から。
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舞台はレッチェ(イタリア南部 プーリア州の街)。
一族でパスタ会社を経営するカントーネ家の次男、トンマーゾ(Riccardo Scamarcio リッカルド・スカマルチョ)が、久しぶりに実家に帰省するところから、物語は始まります(いえいえ、本当は謎めいたシーンから始まるんですが)。

トンマーゾには、3つの秘密がありました。
経営学部ではなく文学部を卒業したこと。家業を手伝う気はなく、作家を目指していること。
そしてゲイだということ。

トンマーゾは、家族にそのことを告白しようと決意していました。
保守的な父親は、きっと自分を勘当するはず。そうすれば正真正銘自由の身になれる、という計算でした。
いざ告白する前に、トンマーゾは、兄のアントニオ(Alessandro Preziosi アレッサンドロ・プレツィオージ)にその事実を打ち明け、皆の前でカミングアウトすることを宣言。
そして会社を継ぐ兄のお祝いを兼ねた夕食の席で、トンマーゾは「ちょっといいかな」と話を切り出しました。
しかし話をさえぎったのは、アントニオ。
アントニオは、トンマーゾを出しぬいて「ぼくはゲイなんだ」と告白したのです!

父親は、アントニオに勘当を言い渡し(トンマーゾの予想通り)、心筋梗塞の発作を起こして倒れてしまいます。
トンマーゾは病床の父親から「会社を頼む」とせがまれ、ローマの恋人(もちろん彼氏)のところへ戻れなくなってしまいました。
さあ、どうするトンマーゾ、そしてカントーネ家のパスタ会社の運命は……

といった内容です。

映画館でゲラゲラ大爆笑したのは、すごい久しぶり。
文句なしにおもしろかったです。イタリアでの評判を聞いていたけれど、その期待を裏切りませんでした。

南部イタリアの閉塞感、イタリアの大家族、ブルジョアの生活……
どれもこれも上手く描かれています。
どの登場人物も印象的でしたが、中でもトンマーゾのおばあちゃん(Ilaria Occhini イラリーア・オッキーニ)が、わたしは好きだったなあ。

あれこれ迷うトンマーゾの内心を察してか、おばあちゃんはトンマーゾにあれこれ人生指南をします。
おばあちゃんにも秘められた過去があるから、その言葉はずっしり。胸に響きます。
例えば……
Gli amori impossibili non finiscono mai. Sono quelli che durano per sempre.
叶わぬ恋は終わらないの。一生続く愛は、実らなかった恋だけよ。

Non farti mai dire dagli altri chi devi amare , e chi devi odiare.
他人に言われたからって、その人を愛したり憎んだりしちゃだめよ。

なぜおばあちゃんが、こんなことを言ったのかは、映画を見ればわかります。

ちなみに、原題のMine Vaganti は、浮遊機雷のこと。
ゲイというキーワードばかりか、カントーネ家にはふわふわ漂う爆弾がいっぱい。いつどこで爆発するかわからない、ってことなのでしょう。
でも爆発しながらも、やっぱり強い絆で結ばれているのが家族なのかな。

監督はFerzan Ozpetek (フェルザン・オズペテク)。
亡くなった夫は実はバイ・セクシュアルで、ゲイの恋人がいた、というストーリーの「Le fate ignoranti(無知な妖精たち)」も撮っています。
この映画は、イタリアで初めてゲイを取りあげた映画だとか。
こっちは、ちょっと奥さんがかわいそ過ぎたし、重たい雰囲気でした。
それよりも、あちこちで爆弾を爆発させながらもからっと笑いに変えてしまう「Mine Vaganti」の方に一票。
お勧めです。
by arinko-s | 2011-09-12 22:03 | 映画 イタリア
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