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本日のイタリア語

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RESPIRO 呼吸

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読みたいものも読まず、観たいものも観ず、ひたすら我慢の日々を過ごしているうちにすっかり秋。
やっと解放され、まず手にした映画です。
というのもこの映画の監督、Emanuele Crialese(エマヌエレ・クリアレーゼ)の新作『Terraferma』が、今年度のアカデミー賞外国映画賞にノミネートされたと知り、俄然、この監督の作品が観たくなったというわけです。

1960年代のランペドゥーザ(シチリア島の南西にある小さな島)。
グラツィア(Valeria Golino ヴァレリア・ゴリーノ)は、漁師の夫ピエトロ(Vincenzo Amato ヴィンチェンツォ・アマート)と、3人の子どもと暮らしています。
自由奔放なグラツィアは、感情の起伏も激しく、時に興奮して気持ちを抑えられなくなるほど。
小さな漁師町で、浮いた存在でした。
気持ちのコントロールをできない彼女を心配する人々は、ピエトロに彼女をミラノの病院に入れるように勧めていました。
そんな母を支えているのが、13歳の長男のパスクワーレ(Francesco Casisa フランチェスコ・カシーサ)です。
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ある日、夫に愛犬を捨てられたことに腹を立てたグラツィアは、村で騒動を起こしてしまいます。
ピエトロはついに、グラツィアをミラノの病院にやることを決めました。
けれどもグラツィアが素直に頷くわけもなく、翌朝、早朝に家を出ていってしまいました。
この時も、母の力になったのは、長男のパスクワーレ。
母を秘密の洞窟に案内し、食糧を運んでやります。
そして、家を出る時に来ていたワンピースを着替えさせ、そのワンピースを海岸に捨てます。

必死でグラツィアを探すピエトロや村の人々。
ついにグラツィアの服を海岸に見つけると、グラツィアの死を覚悟しました。
そして8月24日、サン・バルトロメオのお祭りの日、洞窟を抜けだして泳ぐグラツィアをピエトロは見つけます。
これこそ、まさにバルトロメオの起こした奇跡! 
村の人々総出で海に入り、グラツィアを海岸に運ぶのでした。

というのが、あらすじ。
全編シチリア弁、厳密にはランペドゥーザ弁だそうです。
もちろん、なに言っているのやらさっぱり。イタリア語字幕で観ました。

時代が違うとはいえ、ランペドゥーザの少年たちのたくましいこと!
パスクワーレたち少年は、罠をしかけて雀をつかまえ、それを火で焼いて食べちゃうし、
また別の日には海にもぐってウニを山のように獲っては、それをおやつにしようとする。
ビニール袋にウニを入れているところで、対立グループのragazzi(少年たち)がやってきて、なんとそのビニール袋にパスクワーレをぐりぐり押しつけるというすご技。
パスクワーレの背中にはウニのトゲが刺さり、パスクワーレは七転八倒!
ウニを食べられたかどうかは謎のままですが、こんなふうに一歩間違えたら大怪我に繋がりそうな遊びが、彼らの日常。
やっぱりミラノやローマの都会っ子とは、違うね〜〜。
もちろん毎日海にドボン、ドボンと崖から飛び込んで潜って泳いで。
それも普通のパンツ一丁! 水着なんか着ないんです。

母親役のヴァレリア・ゴリーノは、あまりにもかわいくて、最初パスクワーレのお姉さんかと思っちゃいました。
こんなかわいいお母さんがいたら、そりゃ息子も優しくしちゃいますねぇ。なんたってマザコンの国、イタリアだし。
きっとパスクワーレは、洞窟に母親を連れて行って、独り占めしたかったんだろうなあ。

ランペドゥーザは、アフリカからの移民船が漂着する島として、連日ニュースでその名前を目にします。
映画に出演している子どもたちは、パスクワーレ役のフランチェスコ・カシーサを抜かして、皆地元の少年少女たち。
そのランペドゥーザの少年たちのインタビューが特典映像に入っていましたが、それを観て、ランペドゥーザにもこうしてイタリア人の日常があることに、ほっとするような。当たり前のことだけれど、ニュースからは地元の人たちの暮らしが何も見えて来ず、移民の島というイメージがすっかり定着してしまっているので。

それから、海の青さ、美しさはもちろんのこと、乾いた空気、魚の生臭さ、暑さ、海のひんやりとした水の冷たさ…そういったものが画面からひしひしと伝わってきて、五感で楽しめました。

これは2002年の映画ですが、その年の映画賞を総なめしています。
挿入歌の「La Bambola」は、「L'onore e il rispetto」にも出てくる1968年の大ヒット曲。
一度聞くと頭から離れなくなる曲です。
お時間のある時に、聞いてください。 → ●
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by arinko-s | 2011-10-04 21:21 | 映画 イタリア
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