ブログトップ

本日のイタリア語

cucu2.exblog.jp

C'è chi dice no ノーという人だっているんだ

b0171200_109568.jpg

今春に公開された映画。監督はGiambattista Avellino(ジャンバッティスタ・アヴェッリーノ)です。

新聞社で働くマックス(LucaArgentero ルーカ・アルジェンテーロ、写真中央)、医者のイルマ(Paola Cortellesi パオラ・コルテッレージ、写真左)、大学助手のサムエーレ(Paolo Ruffini パオロ・ルッフィーニ、写真右)の3人は、高校時代のクラスメート。
それぞれ、臨時職員として働き、いよいよ本採用も間近と(サムエーレは論文コンクール受賞を)期待していたその矢先。
マックスは有名作家の娘に、イルマは医長の恋人に、サムエーレは教授の娘婿に、それぞれそのポストを奪われてしまいます。
強力なコネを使った3人が、マックスたち3人の夢を打ち砕いたというわけです。

腹わた煮えくり返るマックスたち3人は同盟を組み、自分たちがつくはずだったポストにちゃっかり収まったコネ組3人に嫌がらせをして、そのポストからどかしてしまおうという作戦に出ました。
もちろん、自分を邪魔した相手を攻撃して、すぐに誰の仕業かばれてしまっては元も子もありません。
それぞれ、仲間の相手に嫌がらせをすることにしたのです。
それも徹底的に。

イルマの代わりに医局に正採用された医長の恋人は、その執拗な嫌がらせを「マフィアのしわざにちがいない」と恐れをなして逃げていきました。
マックスの代わりに正社員として採用された作家の娘は、嫌がらせとは関係なくマックスに恋をし、父親に「彼のことも編集長に推薦してちょうだい」とねだります。
そして推薦を受けたマックスは、願い通りに正記者の座を射止めました。
うん?? コネ社会を憎んでいたはずの本人がコネを使って職を射止めるとは!

イルマとサムエーレにこのことがばれて、3人の関係がぎくしゃくしだしたものの、マックスは自分の地位を利用して、サムエーレの大学のコネにまみれた実情を暴くことに。
そして3人は大学の講演会で、大学がコネだらけで機能しているという絶対的な証拠を観客に見せ、「こんなコネ社会に、わたしたちは断固ノーという! 仕事だけじゃなく、若者の夢まで奪うコネなんかくそくらえ!」と大暴れ。

その結果、3人は警官に逮捕され、ゼロからの再出発を余儀なくされます。
せっかくつかんだ職も失ってしまったけれど、でもはっきり抗議の意思を示したことに3人は大満足でした。

というのがあらすじです。
イタリアがコネ社会だという話は、よく聞きますが、本当にこんなにひどい?
少なくとも医者という職業は、コネがなくとも仕事場を見つけるのはそう難しいことではないと思っていました。

ところが、イタリアでは医者の資格を持っていようとも、就職困難。
コネがなければ医者と言えども、「今の時代、就職できない」というのです。
え〜〜〜、都会が難しくても医療僻地に行くという手もあるでしょ、と思うのだけれどなあ。
もし本当に、努力して、しかもかなりの努力をして資格を取った人たちまでも、コネがなければどうにもならない世の中だとしたら、悲しすぎます。
そりゃ、最初から先が見えていたら、努力するのやめちゃうよなあ、って思います。

日本だってかなりのコネ社会。
だとわたしは、思っています。
コネがないところに飛び込むのは、かなり勇気がいります。
小さなつてでもあるのとないのとでは大違いだし、コネは大事にしろ、とはよくいわれること。

でも、コネを使った人こそ、実力がなくてはすぐにまずいことになってしまう気がします。
コネなんてスタートラインに立つ時に役立つだけのものかと思っていましたが、そこがイタリアとの大きな違いらしい。
もちろんコネがなくてはスタートラインにさえ立たせてもらえないというのは、本当にひどい話だと思うのだけれど、
その上、コネで職を得た人たちは、たとえ実力がなくとも安穏とその職に居つづけることができるというのです!
そりゃ、ますますひどい。
日本だったら、実力無くしてはすぐに窓際に追いやられてしまうのでは。
それどころか、本人も肩身が狭くて、自ら身を引いてしまいそうなものです。
確かに映画の中でも、コネで新聞社に入社した作家の娘は、空気を読めずに周囲にうんざりされていましたが、まったく意に介しない様子でした(余談ですが、この娘役のMyriam Catania ミリアム・カターニャは、マックス役のルーカ・アルジェンテーロの実の奥さん)。

う〜〜ん、コネのないイタリア人は辛いなあ、ってある意味同情するのですが、でも、この3人のしていることにはまったく共感できない!
もちろん、わたしだって思います。いいよなあ、コネのある人は、って。
でもだからって、その人に嫌がらせするのって筋違いでしょ。
え〜〜、え〜〜〜、ってずっと首傾げたまま、映画が終わってしまった。

そんなことをしても、コネ第一の社会が変わるわけないと思うけどな。
知性派のお三方、もっと知恵を絞って社会を変えてくれ!
[PR]
by arinko-s | 2011-12-26 22:42 | 映画 イタリア
<< 遅ればせながら La meglio giov... >>