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本日のイタリア語

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Nessuno mi può giudicare

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2011年の『Nastri d'Argento』(銀のリボン賞 イタリア映画のための映画賞)、コメディー映画部門を受賞した作品です。
タイトルを直訳すると「誰もわたしを評価できない」ですが、「自分の価値基準でわたしを判断しないでね」ってことだと思います。

主人公のアリーチェ(Paola Cortellesi パオラ・コルテッレージ 写真右)はローマ北部のお屋敷で暮らすマダム。
会社を経営する夫と9歳になる息子と、華やかな生活を送っていました。
ところが夫婦の結婚記念日を祝うパーティーの当日、夫が交通事故で亡くなってしまいました。
残されたのは、莫大な借金。
期限までに返済しなくては、息子の養育もできないとみなされ、息子は施設に引きとられることになってしまいます。

屋敷も売り払い、使用人たちにも別れを告げざるを得なくなったアリーチェ。
行き場のなくなったアリーチェ親子を助けてくれたのは、元使用人のアジズでした。
彼の暮らすアパートの、屋上にある小屋に、わずかばかりの荷物を持って落ちついたアリーチェ。
そこは移民だらけの庶民が暮らす町。元の家とは比べ物にはならない、じめじめとしたおんぼろ小屋で暮らすはめになったのですから、ため息も出ようというもの。

しかし、しょげてばかりはいられません。
アリーチェはさっそく、借金返済のため、そして生活のため、仕事を探しはじめました。
けれども世の中、甘くない。
短期間で稼ぐ手段などそうそうあるわけもなく……
アリーチェは、一大決心をしました。
コールガールになったのです!

仕事が軌道に乗りはじめた一方で、アリーチェは近所のインターネットポイントを経営するジュリオ(Raoul Bova ラオウル・ボーヴァ 写真中)を好きになっていきます。
もちろんコールガールをしていることは内緒でした。
借金返済のめども立ち、コールガールは卒業、ジュリオと大手を振って付き合える、と思った矢先。
コールガールをしていることがジュリオにばれてしまい……

というお話です。
移民の使用人を鼻であしらい、貧しい人たちを小ばかにしていたアリーチェが、その移民や貧しい人たちに助けられ、おまけに軽べつしていたコールガールという職業に救われ、偏見をなくしていくという物語。
コールガールをしている女性にも、せざるを得ない理由があるのだと、身を持って知ったわけですね(もちろん好きでしている人もいるかもしれませんが)。
世の中その立場にならなくてはわからないことばかりですが、でもせめて想像力で人の立場をおもんばかることはできるはず。
それができないようだと、それほど痛いものはない、と物語冒頭の傲慢なアリーチェを見てつくづく。

イタリア語でコールガールは「escort エスコート」と英語を使います。
この言葉を頻繁に聞くようになったのはここ2〜3年のこと。
ベルルスコーニ前首相がエスコートの女性を自宅に呼んで、未成年を買春したのではないか、という疑惑がもたれるようになってからのことだと思います。
最初「エスコート」「エスコート」と聞くたびに、?? だったのですが、今やこの言葉を聞くとベルルスコーニのにやける顔が浮かんでしまう。

写真左の男性は、アリーチェの引っ越し先の門番をしている男性。
移民だらけのこの界隈にうんざりしている、超razzista(人種差別主義者)です。もちろん、自分では「オレは人種差別なんかしないよ」って否定しているんですけどね。
でもアリーチェがイタリア人だと確認すると、それだけで「Brava!(ブラーヴァ!)」と褒める。
その彼の台詞が印象的でした。
「あいつらアフリカ人はアメリカに行って、奴隷になるしかなかったけど、オレたちイタリア人は違うぜ」と。

Invece noi italiani, quando siamo andati in America, subito abbiamo creato la Mafia, lo vedi che proprio un'altro livello di organizzazione di creatività è il Made in Italy!

オレたちイタリア人は、アメリカに行ってすぐにマフィアを生んだじゃないか。
もうひとつの創造力のたまものは、メイド・イン・イタリーさ、違うか?

マフィアとメイド・イン・イタリー! 確かに現代イタリア人の二大産物かもね。
今や世界中が、メイド・イン・チャイナとファストファッションブランドに席巻されていますが……。

でも、このおじさんも最後は黒人の彼女を作ってイチャイチャ。
偏見を捨てることが幸福への近道、ってことですね。

アリーチェ役のパオラ・コルテッレージは『C'è chi dice no』で、イルマを演じた女優さん。
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監督はMassimiliano Bruno(マッシミリアーノ・ブルーノ)です。
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by arinko-s | 2012-01-06 17:00 | 映画 イタリア
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