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本日のイタリア語

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NOVECENTO(1900) 20世紀

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I部、II部併せて5時間の超大作。長い!
ということで、2日に分けて鑑賞。

1901年1月27日、同じ日に、同じ場所で、2人の男の子が生まれます。
ひとりは、大農園の所有者の孫、アルフレード。
もうひとりは、その農園で働く農民の息子、オルモです。
オルモの母親は未亡人。父親はわかりません。

異なる環境に生まれた2人ですが、それでも仲良く育っていきます。
とりわけアルフレードは、オルモの大胆さ、勇敢さにホレボレしながら、影響を受けて大きくなっていきました。

ある年の夏祭りの日、農民たちがダンスをして楽しんでいる様子を見た地主のベルリンギエリ(アルフレードの祖父)は、自分の老いを実感し、牛小屋で首をつって自殺してしまいます。
父親の死を悲しむどころか、遺言状を書き換え、土地を自分のものにしようとするジョヴァンニ(アルフレードの父)。それを目撃したアルフレードは、ショックを受け、父親に嫌悪感を抱くようになります。

2人は青年になり、第一次世界大戦が始まります。オルモは戦線に立つことになりますが、無事に帰郷。
農園には、管理人としてやってきたアッティラがいました。アッティラは、農民たちを蔑み、強引な手法で農園を管理しています。
オルモは、そんなアッティラと対立。同じくアッティラに反感を抱いていた、女性教師アニタと意気投合し、2人は恋に落ちます。

一方、遊び暮らしているアルフレードは、伯父さんの家で出会ったアダにひと目惚れ。
1922年、父の死後、アルフレードはやっとアダと結婚できます。

オルモとアニタの間にも娘が生まれますが、アニタは出産が原因で死去。
オルモは娘に、アニタと名付けました。

その間、黒シャツ隊の一員となったアッティラは、農園でしたい放題、横暴に振る舞い続けていました。
自分の罪を人に押しつけ、素知らぬ顔をするアッティラ。
そのことに気づいたアダは、夫のアルフレードに訴えますが、アルフレードは何も言えずに沈黙し続けます。
アダはそんな夫に失望し、家を出て行ってしまいました。

さらに数年が過ぎたある日、アッティラに反逆したオルモは、そのまま農園から逃げ去ります。
月日が流れ、オルモは亡くなったものだと、皆が考えるようになっていました。
そして迎えた1945年4月25日の解放の日、アッティラとその妻は農民たちに捕まえられ、リンチにされます。
アルフレードは、農民の子どもに捕らえられ、農民たちに囲まれます。
そこに帰ってきた、オルモ。アルフレードを人民裁判にかけることになりました。

判決を下すオルモは、アルフレードに「仮死刑」を伝えますが、これは農民たちのリンチを避けさせるためのものでした。

時は過ぎ、互いに老人になった2人が映し出されます。
2人は幼かった頃のように、ふざけ合いながらの田園風景の中を歩いています。
子どもの時、度胸試しと称して線路に横たえ、通り過ぎる電車の下でじっとしていた2人。
アルフレードは、その時のように線路に横たわりました。

映画はここで終わります。
でも体が大きくなった今、電車が上を通っても無傷でいられるわけがありません。
しかも線路に対して垂直に横たわるアルフレード。
アルフレードの自殺を暗示しているのでしょうね。

アルフレードを演じているのは、若かりし日のロバート・デ・ニーロ!
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(写真左。右はオルモ役のジェラール・ドパルデュー。2人とも信じられないくらいに若い!)
映画の冒頭、アルフレードが農民の子に捕らえられるシーンがありますが、最初デ・ニーロだとはわかりませんでした。
実際に年をとった姿よりも、かなり細身の老人姿。
現実を見ているからか、結びつきませんでした。

余談ですが、パリに行った時、カフェでお茶していたら、隣の席にデ・ニーロがやってきたことがあります!
かなり隣の席との空間が狭いカフェで、まさにすぐ横に。
いや〜〜、あんなこと、もう二度とないだろうなあ。
それ以来、デ・ニーロを見ると、親近感倍増です。

話はそれましたが……

解放の日、農民たちはこっそりと縫っていた赤い大きな旗を持って行進します。
赤い布(もちろん使い古したボロ布)を何枚も何枚も継ぎ合わせて作った、大きな大きな旗です。
ファシストから解放された日は、奴隷のように働かされる日々から解放される日でもあったのですね。
5時間という長い時間の中、この旗の赤が一番印象に残っています。

これは1976年の映画。製作に3年を費やしているそうです。監督のベルトルッチは、何と36歳!
撮影中にデ・ニーロは『ゴッドファーザーPARTII』で、オスカーを受賞。
1976年のカンヌ映画祭では、『タクシードライバー』がグランプリを獲得しているのですから、この映画は、デ・ニーロがスターダムを駆け上っているまさにその最中の一本なんですね。
もちろん、イタリアでは大ヒットを記録したそうです。
「イタリア近代史を知りたいなら、この映画は観なくちゃ」と伊語の恩師、ダニエレにいわれた一本。
今も、イタリアでは語り継がれる一本なんですね。

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(少年時代のオルモ役の子がかわいかったです)
by arinko-s | 2012-04-19 13:57 | 映画 イタリア
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