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本日のイタリア語

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カテゴリ:映画 イタリア( 52 )

まなざしの長さをはかって

昨年のイタリア映画祭で見損なった一本。

ポー川沿いの小さな村に、代理教師としてやってきたマーラ。
美しい独身女性は、あっという間に村中の男性たちの注目の的になる。

木立の中に佇む一軒家に暮らすことになったマーラ。
そんな彼女を、夜な夜なこっそりと外から見つめる
自動車修理工のハッサン。チュニジアからの移民だ。
同じく、彼女に淡い気持ちを抱く青年、ジャーナリスト志望のジョヴァンニは、
マーラのメールアドレスとパスワードを盗み見し不正アクセス。
マーラと親友のやり取りを盗み読むようになる。

ある日、外から家の中を伺っていたハッサンに気づいたマーラ。
一度はハッサンの思いをぴしゃりと跳ね返したものの、
誠実で実直なハッサンに次第に惹かれていき、二人は結ばれる。

しかし、代理教師就任時から、次の仕事が決まっていたマーラ。
それは、村を離れることに他ならない。
結婚を申し込むハッサンにも、何も返事をすることができなかった。
そして、旅立ちの前日、悲劇が起こった。

マーラの死体が川から上がり、ハッサンが逮捕される。
一方的な裁判が進み、ハッサンは刑務所で自殺してしまう。

それまで裁判に無関心でいようとあり続けたジョヴァンニが、裁判の記録を読み直すと……。

こんなミステリー仕立ての映画とは知らなかったので、
けっこうドキドキしてしまいました。
結末は意外な展開を告げますが、
しかし本当にこんな裁判があったとしたら、イタリアの裁判て考えものです。
あまりにも捜査が杜撰すぎる。

ハッサンはとても優しく、まじめで、マーラが惹かれたのもわかります。
でも二人の立場は違いすぎる。
マーラは国際協力で世界を飛び回りたいと考えるような、活発、外交的な女性。
男性とのセックスも彼女にしたら、深い意味はなかったのかもしれません。
しかし、ハッサンにとっては、彼女と結ばれたことは、結婚に直結するような
重いできごとだったに違いありません。
ハッサンの思いが痛すぎる。

それにしてもこのタイトル、よくわかりません。
ジャーナリストを目指すジョヴァンニが新聞記者として受けたアドバイス。
それは、人との正しい距離の取り方。
遠すぎれば真実味が失せ、近くなりすぎれば客観的に書けない。
その時の言葉「La giusta distanza」正しい距離、というのが原題です。
しかし、その言葉を守らず私的感情に動かされて事件を掘り返したからこそ
ハッサンの無実が証明されたわけです。
つまり「正しい距離」というのは時と場合によるものだ、
というのが映画の言いたいところという気がします。

もちろん邦題には、原題を直訳する必要はまったくないわけですが、
このタイトルは疑問だなぁ。「まなざしの長さ」っていうのもおかしな日本語だし、
映画の主題とも離れちゃっている気がします。

見ていて楽しいのはマーラ役のヴァレンティナ・ロドヴィーニがとにかくかわいいこと。
まさにイタリア人のかわいさ!
見ていてうっとりしちゃいます。

そして、もうひとつ印象に残ったのは、最後のジョヴァンニの台詞。
ジョヴァンニは事件の真相を記事にし、ミラノの有力紙に記者として引き抜かれました。
「イタリアで最悪の町に住むことになった」
と言って終わります。
確かに多くのイタリア人(ミラノ人以外)は、そう言いますよね。
でも、ミラノだって美しいぞ!!と、私は思う。
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by arinko-s | 2009-04-27 21:33 | 映画 イタリア

ヴィットリオ広場のオーケストラ

見逃してしまっていたこの映画。

舞台はローマ。
テルミニ駅近くのヴィットリオ広場にある“アポロ劇場”。
近々閉鎖されることが決まったこの劇場を救おうと、グループ“アポロ11号”が結成される。
メンバーは、この移民が多く住む広場で、
ここの住人による多国籍のオーケストラを結成しようと企画した。
国籍も職業もこえたメンバーで音楽を演奏すれば、話題にもなるし、
何より住民の一致団結を計る手段にもなるはずだった。

しかし、事はすんなりとははかどらない。
音楽のできる移民は決して多くなく、
結局はヴィットリオ広場の住人に限定する事は無理だと悟る。
ローマ中から、そしてコルシカ島に住むインドの音楽家、
果てはインドに住む彼の親戚まで招聘し、オーケストラが結成された。
 
メンバーが揃っても一筋縄では事は運ばず…
民族による反発、音楽の解釈の違い、意識の差。
次から次へと問題が湧いてくる。

しかし、そこは音楽の力が解決。
音楽の楽しさは世界共通。
メロディを奏でることで、彼らの心がひとつになっていく。

というのが、大まかなストーリー。

大人になって、できたら楽しかっただろうな、と思う事のひとつが音楽です。
楽器ができる人って格好いいし。
今から楽器は難しそうだから、合唱とかやってみようかしら、なんて思ったりもする。
まあ、それも実現しそうになく、もっぱら音楽鑑賞するだけの身ですが、
この映画を見て、う〜ん、やっぱり音楽はいいなぁ、と思いました。

移民の問題はイタリアではとても深刻で、
こうして移民にスポットを当てた映画を見ると、改めてその問題の根深さを感じさせられます。
移民排斥運動などもあるようですが、イタリア人の中にも複雑な感情があるはず。
何しろ、自分たちが貧しい時代には、
アメリカ始め南北アメリカ大陸に大挙して押しかけていた歴史があるわけですから。

とかく、移民のおかげで治安が悪化すると言われがちですが、
音楽を楽しむ彼らを見ていると、安心させられます。
イタリアで暮らしていた頃、色の浅黒い人が近寄って来るだけで、
ドキドキしていた自分を反省。
音楽は平和・共存の道具になるのかもしれません。
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by arinko-s | 2009-04-02 21:29 | 映画 イタリア