今更ですが、あの『ショコラ』です。
もう一ページ目から、「ショコラ・ワールド」に引きずり込まれてしまいました。
あえて、あらすじをご紹介する必要はないと思うのですが、
かる〜く触れると……
舞台はフランスの小さな村。
ある日、よそ者の母娘がその村にたどりつき、村の中心、
教会に面した広場の一角にチョコレートショップをオープンします。
時は、四旬節の始まり。
日々の食事を減らし、信仰心と共同体意識を高める、
一大宗教行事“復活祭”前の大切な四十日間です。
村人たちに、この四十日の大切さを説いている神父様は、
チョコレートショップの存在が疎ましくてたまらない。
村人たちと店の女主人ヴィアンヌが親しくなればなるほどおもしろくない。
二人の対立を核にして、復活祭までの四十日間を描いた小説です。
小さな村の閉塞感。
想像に難くありません。
なぜ、放浪を続けていたヴィアンヌがこの村を次の居場所に決めたのか、ちょっと不思議。
でも、読み進めるうちに何となく理解できるような気になりました。
何もしがらみがない生活を送っていたからこそ、
そこに暮らす人たちと密に接したくなったのかもしれません。
事実ヴィアンヌはとても魅力的で、人を受け入れる広い心の持ち主でもあるし、
人から受け入れられる暖かな性質。
どんなところでも、上手くやっていく術をすでに身に付けている女性です。
その村の大きさやそこで暮らす人たちがどんな人かなんて関係ないのです、きっと。
村の匂いがぴたっと来たんだろうな。
まだ見ていなかった映画も見てみました。
ジョニー・デップもジュリエット・ヴィノシュも小説の登場人物の魅力を
すごく良く伝えているけれど、
やっぱり小説の方がおもしろかった!
映画しか見ていない方、小説もお勧めです。
ヴィアンヌの人柄、ちょっとミステリアスな予知能力、
読者に想像の余地を残す物語の運び方。
どれもこれも魅力的でしたが、なんといってもチョコレートの描写がすごい!
もう、よだれが出てきちゃいそうになります。
熱い盛りにはチョコレートって魅力減退ですから、冬の読書向きかも。
いや、冬に読むとついついホットチョコレートに手が伸びちゃいそうだから、
ダイエット中の方は真夏に読むべきかも。