イタリア映画祭で見たもう1本がこの『よせよせ、ジョニー』。
ナポリ近郊の小さな町、カゼルタで暮らすファウスト。
父親が亡くなり、今は母との二人暮らし。
ギタリストとしてバンドに参加している。
そんなファウストを待ち受けているのが兵役。
母子二人暮らしということで、あとは定職についていることを証明しさえすれば、
兵役が免除される。
そこで、バンドの仕事を斡旋してくれていた興行師に、
契約書を書いてくれるようお願いするのだけれど、なかなかことは進まない。
ある日、ミラノから著名なミュージシャン(監督のベンティヴォッリョが演じている)がやってきた。
興行師に言われるがまま、彼の世話をし、彼と共にステージに上るファウスト。
これで、すべてがうまくいくかのように思えた。
しかし、旅の途中で興行師が姿をくらまし、契約書どころかギャラももらえなかった。
すべて降り出しに戻ったある日、ミラノへ戻った彼のミュージシャンから、
ギターを持ってミラノへやってくるようにとの電話。
ためらいながらも、ミラノへ向かったファウストだったが……。
最後は何とも不可思議な終わり方でした。
見る人によって、ハッピーエンドともとれるし、その反対にもとれるし……。
私は、う〜ん、納得いかなかった派です。
適当な口約束、その場しのぎの即興バンド、惚れっぽい男…
イタリアだぁ、って笑えるエピソードが満載でした。
多くの人が抱いているだろうイタリアのイメージを、
うまーく笑いの小道具に使っています。
ただ、おとなしく従順でうぶなファウストだけは、
ステレオタイプのイタリア人像とかけ離れていました。
きっと、イタリアにもこういうおとなしい子いるはずですけどね。
なかなか出会わないタイプかも。
タイトルの「ジョニー」はいったい誰なのか?
ミュージシャンがファウストに呼びかけた名前が「ジョニー」。
「ミラノでは親しい人に呼びかける時には“ジョニー”と言うらしい」ってファウスト。
天然なのか、ばかがつくほど素直なのか。
とにかくファウストのかわいさに、気づいたらノックアウトされていそうな、そんな一本でした。