「イタリアでは、移民問題が深刻」という話は、何度か書いたのですが、
実は今、逆移民の問題が浮上しているそうです。
逆移民、つまりイタリアから国外へと移住してしまう人たちが急増中。
それも若い世代が、次々に海外へと移住してしまう。
9月25日づけの『La Repubblica』によれば、
とりわけ大学を卒業生した人たちの海外移住者は、ドイツ、フランス、イギリスの4倍にも登るそうです。
さらに……、
20~40歳の、この10年間の移住者の行き先は、60%がヨーロッパ内だということですが(第二次大戦後、イタリアはアメリカや南米諸国への移民大国でした)、
なんと、ヨーロッパ内でのイタリア人移住者の数は、ルーマニア人、ポーランド人に続いて第三位。
その数130万人、世界中で見れば400万人もいるそうです。
イタリア人の人口が6千万人弱であることを考えると、この数がいかに深刻なものであるか、想像に難くありません。
1年ほど前の『CORRIERE DELLA SERA』には
「大学卒業予定者の3人に2人は、海外での仕事を希望」という記事が載っていました。
EUの共同市場が計られ、ユーロが導入されたことで、EU内の行き来が自由になったことも、大きな要因だろうし、
イタリア国内に仕事がないということも、その理由なのでしょう。
でも、今やイギリス、ドイツの失業率もイタリアと大差ないのでは?
フランス、スペインにおいては、イタリアよりも失業率が高いのに、それでも、なぜイタリアを離れて、そちらへ行くのか?
私がイタリアで暮らしていたころは、
みんな自分の生まれた街が世界で一番美しいと信じ、できることなら故郷で働きたい、と思っている人が圧倒的に多かったように思います。
実際、東京と比べると本当に小さな街であっても、生まれた時から仕事をしている今の今までその街以外で暮らしたことがない、という人が大半だったと思うのです。
自分の街を愛してやまない人たち、それがイタリア人だと思っていたのに!!!!
先日観たジョヴァンニ・ヴェロネージ監督の『恋愛マニュアルII』の中に、
不妊治療のためにスペインに通う夫婦の話、結婚をするためにスペインに赴くゲイのカップルの話がありましたが、
カトリックの教えがあらゆることの規範となっているイタリアは窮屈だと思う人たちも、多いのかもしれません。
いずれにせよ、
イタリアには国外からの移民が流入し、南イタリアの人たちは北イタリアへと移住し、さらにイタリア人の若者は外国へと旅立って行く。
そのうち、世界中でこんな現象が起きて、国境って希薄になっていくのかもしれません。