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本日のイタリア語

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L'anima Gemella

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俳優としても活躍中のセルジョ・ルビーニ監督の、2002年の作品です。

舞台はプーリア州の小さな町。魚の加工工場を経営する父を持つ、テレーザ(写真中央)と、その工場に勤めるトニーノ(写真右)。二人は結婚の約束をしています。
二人の結婚式当日、神父さんに誓いの言葉を求められたトニーノは返事に詰まります。
トニーノには、別に愛する女性がいたのです。
テレーザは、あえてその女性マッダレーナ(写真左)を式に招待していました。

トニーノはテレーザに永遠の愛を誓うことをやめ、別に愛する女性がいることを、皆の前で宣言。
そしてマッダレーナの手をとり、教会から逃げ出しました。
もちろん、式は中断。残されたテレーザはヒステリーを起こし、大騒ぎに。

翌日、腫れ物にさわるかのように振るまう家族にもテレーザは当たり散らし、いっこうに気持ちは治まりません。
そんなテレーザを慰めるため、おばさんがテレーザを魔術師のところへ連れて行きます。
テレーザは魔術師の女性に「マッダレーナにしてほしい」と懇願しました。
外見を変えれば、トニーノの気持ちも変わると考えてのこと。
けれども魔術師は「そんなことをしても、なにも解決しない」とすげなく断りました。
またもやヒステリックに騒ぎ立てるテレーザ。
その叫び声を立ち聞きした魔術師の息子(セルジョ・ルビーニ監督)。お金になると母親を説得して方法を聞き出し、自らテレーザに魔術をかけます。

まず、逃走中のマッダレーナを誘拐し眠らせ、そしてその指を切って血を流させます。
その血でテレーザのおでこに十字を描き、呪文を唱えます。
なにも変化は起こりませんでしたが、その翌日、なんとテレーザはマッダレーナに姿を変えることができたのです!

テレーザ(偽のマッダレーナ)が真っ先に向かった先は、もちろんトニーノの元。
突然マッダレーナがいなくなってしまったことに失望していたトニーノは大喜びします。
けれどもテレーザの家では、彼女が自殺を図るために行方をくらましたのではないかと大騒ぎ。
兄3人がトニーノの行方を突きとめ、復讐しようとたくらみます。

それを知った本物のマッダレーナは、トニーノを守ろうと、自分がテレーザの姿になることを決意。
今度は魔術師が自分の力で、マッダレーナをテレーザに変えてやります。
マッダレーナの犠牲精神のおかげで、なんとかトニーノは殺されずにすみました。そして、テレーザになったマッダレーナの計らいで、職場に戻ることもできました。

いきなりわがままでヒステリックになったマッダレーナと、人に優しくなったテレーザ。
トニーノはどこかおかしいと思いはじめ、マッダレーナ(本当はテレーザ)を捨てて、旅に出ようとしていたテレーザ(本当はマッダレーナ)を追いかけます。

というのがあらすじ。
タイトルを直訳すると『双子の魂』。運命の相手は、この世にたったひとりだけ。どんな姿であろうとも、どんな場所にいようとも、双子の魂はふたつでひとつ、必ず出会える、ということなのかな。
つまり、外見をいくら変えようとも、魂の運命までは変えられない、ということでしょうか。
あるいは、外見は変わってしまっても、双子の魂を持つ相手はきっと本当の自分を見つけてくれる、ということかなあ。

この映画の核にあるのが、魔術師の存在。
わたしは、魔術とか妖術とか霊とかまったく信じない人間なのですが、イタリアでは信じている人、多いですね〜。
姿をそっくり変えてもらう、なんて一歩間違えれば、ファンタジーの世界に迷い込みそうな設定ですが、そうならないところはさすが。
町の人は皆知っている不思議な力を持ったおばあさん。本当にいるのかも、と思わせます。

実は、イタリアではよく知られる、魔術師の功績、というのがあるそうです。
アルド・モーロ元首相誘拐暗殺事件(この事件を題材にした映画はこちら)が起きたとき、ある魔術師が彼の監禁されているアパートの住所をぴたり言いあてたそうです。
けれども、裏で政治的な権力争いやアメリカの内政干渉などがあったといわれるこの事件。
結局、その魔術師の予言は事件解決には役に立たなかったそうです。

そんなことがあったとなれば、イタリア人が魔術師の存在を信じていても、まあ不思議はありません。
本当にいるのかもしれませんねえ。
by arinko-s | 2011-03-06 15:56 | 映画 イタリア
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